おすすめ本 一般書&考古学

枝のために

ここでは、もしこのブログを読んでもらい、考古学を幹にもしくは枝にしたいと考えたひとのため、独断と偏見で考古学に関連する本を紹介します。不定期に更新もしていきます。更新した場合はTwitterで知らせますんで、興味がある方はフォローしておいてください。

基本的に「考古学から遠いところにいるひとたちへ」向けた本(入門書など)を紹介します。本のタイトルをクリックするとAmazon(一部は出版社へ)にいけます。参考にしてください。

順番は適当で、更新は下から足していきます。

一般書の紹介も始めました。

一般書 おすすめ本

ジュリアン・ジェインズ『神々の沈黙―意識の誕生と文明の勃興』
この本を読んだとき、衝撃を受けました。とても挑戦的で目からうろこです。ぼくたちが日ごろ使用している「意識」という言葉とな何かという問いから始まり、意識は約3000前年前に形成されたという内容です。非常に挑戦的でひとりの人間が書き下ろしたとは思えないほど驚異的。本当におすすめ。

野家啓一 2005『物語の哲学』岩波現代文庫
ぼくの歴史観を促してくれた歴史哲学本。少し難しいですが哲学でいかに時間や過去、知覚が論じられたのかが分かります。そして歴史は行為であり、それは物語ることというテーマにはしびれます。

大沼保昭(江川紹子:聞き手) 2015『「歴史認識」とは何か—対立の構図を超えて』中公新書正直この本を読んで驚きました。日本と東(南)アジアの歴史認識問題は対立ばかりで辟易としますが、この本は違う。非常に優れたバランスで書かれていますし、なにより、文章が平易で分かりやすい。ほんとうに多くのひとびとに読んでほしい本です。韓国語・中国語などにも翻訳してほしい。。。

網野善彦 1996『[増補]無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和』平凡社
この本はベストセラーになったと聞きます。それ故名著です。ぼく自身も大学一年生のときに網野善彦の歴史学に魅せられたことを鮮明に覚えています。
この本のタイトル「無縁・公界・楽」は私有と拮抗し矛盾する日本中世的な自由と平和の原理だったというのが内容です。個人的にはとても面白いと思います。増補版では旧版にあてられた批判へのコメントが多く乗っているし、新たによっつの論考が収録されているので増補版がおすすめです。増補版を読めば網野善彦史観への批判も理解できると思いますので。

中沢新一 2005年『アースダイバー』講談社
著者である中沢新一は宗教学や人類学などを基軸に世界をながめていますが、この本もまたそれらを基軸に、そして縄文の視線も取り入れながら、東京という都市の成り立ちをフィールドワークによって紐解くというものです。縄文に関する部分は、専門家からみればすこし危ういところもありますが、とても挑戦的で面白いです。そして不思議です。
ひとつだけ言うとすれば、中沢新一は絶対に変態だろうな、ということでしょう。。。
下のリンクは、2019年の増補版です。

考古学の本を読むときの注意点

考古学の本は基本的に答えを探すために読むものではありません(たぶん全部の本がそうだと思う)。木を育てるために、自分で取捨選択して、自分で考え、自分のものとしましょう。

考古学  おすすめ本

V.G.チャイルド 1969年『考古学とは何か』岩波新書 
絶版かもしれませんが、考古学についてよくまとめられています。しかし、比較的古典になるので、現代には違った考えをもつ人も多いことは理解しておいてください。

鈴木公雄 1988年『考古学入門』東京大学出版会
これもコンパクトに考古学についてまとめられています。考古学徒もよく読んでいる入門書です。

シリーズ「遺跡を学ぶ」新泉社
遺跡に即して考古学がしたい人にはこれがいいでしょう。日本の著名な遺跡をもとに各研究者が執筆して出版されています。また、番外編として刊行されているガイドブックもあります。ぜひこちらも。

アンドレ・ルロワ=グーラン 1973年『身振りと言葉』荒木亨 訳 新潮社
この本はアツい!!そして、この本を考古学といっていいのか疑問でもるぐらい内容も濃い。古生物学や形質人類学や民族学など様々な学問を横断した著作。まさに巨木です。ぼくはこの本が一番好き。文庫本化されてますが、めっちゃ厚いです(上・下に分けてほしかった)けどおすすめ(下のリンクは文庫本)。厚さがヤダという人は単行本版(古本)を買うといいでしょう。

内容は、人間というイメージがいかに変化してきたか、から始まり、この本の主題でもある身ぶり(技術)の話に。ここで面白いのは技術は人間の技術のみではなく動物がもつ技術という視点で描かれることです。そのまま話は進み頭蓋骨の形態の変化から、大脳皮質の発展など、、、まぁすごい内容です。最大のテーマは「外化」です。ぜひ読んで確かめてみてください。すごいです。

竹岡俊樹 2011年『旧石器時代人の歴史 アフリカから日本列島へ』講談社選書メチエ
ぼくが考古学を語るときにこの人は外せません。それだけ面白い人です。竹岡さんは独特なものの考え方を持っています。

せっかくなので竹岡さんの本を幾つか紹介。

2014年『石器・天皇・サブカルチャー ―考古学が解く日本人の現実―』勉誠出版
非常に挑発的なタイトルですね。この本は日本版『身振りと言葉』と言っていいでしょう。この石器づくりによって得た人間の能力を背景に現代の問題、オウム真理教事件までを芋ずる式に書いていく本。

竹岡さんはオウムを主題とする本を2冊しています。特に勉誠出版から2018年に『考古学が解く混迷の現代 オウム事件の本質』が出版されています(ぼくはまだ未読です。。)。

北條芳隆編 2019年『考古学講義』ちくま新書
これは旧石器時代から古墳時代までの最新研究が集められている本です。ただし、各時代ごとテーマごとでページ数が少ないので、各時代が全般的に網羅されているわけではありません。また、考古学ファンに向けて書かれた本だということで少し専門的です。

長井謙治編 2019年『ジョウモン・アート 芸術の力で縄文を伝える』雄山閣
ぼくは、この本を非常に重要なものだと考えています。考古学が現代社会とどのようにつながることができるか? という問題に一石を投じていることは間違いないです。専門的に言えば、パブリックアーケオロジーでも必要な本のひとつになるでしょう。

阿子島 香・溝口孝司監修 2018年『ムカシのミライ』勁草書房
考古学の哲学書ともいうべき本です、現代考古学の世界的情勢や日本考古学の欠点が、非常にメタな視線で指摘されています。

渡辺仁 1985年『ヒトはなぜ立ち上がったか—生態学的仮説と展望』東京大学出版
この本は残念ながら絶版で古本を探すしかありません。しかしなぜ再版されないのか。内容は専門的ではあるものの、このレベルの人類史を日本人が書くこと、それは並々ならぬことだと思います。

松木武彦 2009年『進化考古学の大冒険』新潮選書
この本は考古学から大きな世界をみたいと思う人におすすめの入門書です。この著者松木武彦は近年、考古学の一般書執筆にもっとも力を注いでいる考古学者のひとりで、文章もわかりやすい。

松木武彦 2017年『縄文とケルト——辺境の比較考古学』ちくま新書
この本もとても分かりやすくまとめられています。日本とイギリスはともに辺境に位置する 島国であるという点で地理的に類似していることから話をはじめ、両地域の旧石器時代から鉄器時代へ、そしてイギリスとローマ帝国、日本と漢の関係へと話は進みます。そして有史時代まったく違う道をたどる両地域の根源をそこに見出していく。ここが魅力です。

藤本強 1994年『東は東、西は西――文化の考古学』平凡社選書
残念ながら絶版ですが、古本で手に入ります。この本は当時悪化し、現在も続く民族間での紛争の根源は東西の文化差であるとし、それは森林の東、草原の西の差であり、コメとムギの差である。という大局的な東西差を語ります。その差が100万年以上前の前期旧石器時代から話が始まるので、とてもダイナミックです。今読まれてもいい本だと思います。
 ただ112頁第3段落の「日本列島にも……」から、113頁4段落目最後の「……石器群といえよう」までは残念なことに2000年に発覚した捏造事件の知識が使用されているので、ここは注意が必要。それ以外は今も一定の説得力をもっています。

佐藤宏之 2000年『北方狩猟民の民族考古学』北方新書
佐藤宏之さんは旧石器化縄文時代研究における民族考古学の代表者のひとり。少し専門的かもしれませんが、日本東北地方のマタギとロシア沿岸地域の先住民ウデヘの話は一般人にも面白い内容だと思います。

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>「ひとりの木、考古学」は、考古学的な視線を現代に生かすことを目的としています。

「ひとりの木、考古学」は、考古学的な視線を現代に生かすことを目的としています。

考古学、それはかつての人間(ヒト)によって残されたモノを観察し、そこから忘れ去られた、なにか(行為や情景などなど)を呼び覚ます学問です。そのため、一般的に考古学は人文学、特に歴史学の中に含まれます。 歴史学に含まれるという学問的性質上、考古学者はよく過去に囚われてしまうのです。このブログは過去に囚われない考古学を構築し、現代へとその視線を広げます。

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